オナホ妖精の受難

 油断していなかったと言えば嘘になる。
 ここの所は帝国軍の動きも見られず、また遺跡の活動も沈静化している為にはぐれ召喚獣たちに襲われる危険性も薄い。おまけに今日は久しぶりの晴天だ。彼女は何よりもお天気を愛していた。
 それで、ぽかぽか暖かい気候に誘われたように、花の妖精であるマルルゥは一人きりでふらふらと島をさ迷っていたのだった。
「いいお天気ですねぇ……マルルゥはなんだか、眠くなってきたですよ」
 ゆらゆらと宙を飛ぶマルルゥは、高く括った二つ結びを揺らしながら木立の間で目を擦った。余りの気候の良さに眠気をそそられ、気付けば鬱蒼とした森林で低空飛行になっている。以前にそんな状態でふらふら飛んで、木にぶつかった所を目撃されたレックス――彼女流の言い方をすれば、先生さんに散々に笑われたばかりなのだ。
「……うぅん、いけないですよ。マルルゥは探し物があるんですから……あぁ、でも本当、お昼寝でもしたいですねぇ……っとと、」
 飛びながら寝そうになる己を叱咤するかに、頬をパンパンと二回叩いて、マルルゥは目前に迫っていた樹の幹を慌てて避けた。
 態々帝国軍が島に訪れていると判明した今、こうして自由に散歩をするのも難しくなった。しかし今日マルルゥが一人飛び回っているのは何も陽気に誘われてのことだけではない。
「うぅん、ないですねぇ……」
 頭上を、右を、左を、くるくると目で追うマルルゥだが目的のものは見当たらない。
 この辺りにあるという噂を聞いたのだ。スバルとパナシェ――ヤンチャさんとワンワンさんと遊んでいる時に、十年に一度しか成らないという貴重な実を見つけたのだと、彼らが興奮して話してくれたのだ。

『嘘じゃねぇって、本当だって……だって見たんだよ、なぁパナシェ?』
『うん……僕も急いでたからチラッとしか見なかったけど、確かにあんなに鮮やかな実はここでは見ないね』
『あれさえあれば、きっとみんな喜ぶよな? な?』
『うん……でも、森のすっごく深い所にあったから、勝手に行っちゃダメだって言われるよ。僕も……こわいし』
『っけ! 何だ、パナシェの臆病者! ……でも、そうだよな。今は勝手するなって、母上にも言われてるし……』

 頭の中で彼らの会話を再現して、マルルゥはくすりと微笑む。島内でも年少である彼ら三人はとても仲が良く、何時もそうやって一緒に遊んでは他愛もない話で盛り上がっているのだ。
「う〜ん、ヤンチャさんとワンワンさんの言うことだから、ホントですかね……でも、あれが食べられればきっと、シマシマさんも元気になるですよ」
 集落の纏め役として心身ともに削っているヤッファ――シマシマさんに、精力のつくと言われるその実を上げれば、きっと元気になるだろう。そう思ってマルルゥは、スバルらが目撃したと言っていたそこを探してさ迷っているのだった。
 はぐれ召喚獣に追われていた時に、逃げながら見つけたとのことだから信憑性は薄い。しかし大事なシマシマさんに対することだから、とマルルゥは僅かな可能性を求めて島の外れの森をさ迷っているのである。
「う〜ん、ないですねぇ……やっぱ見間違いだったのかも……?」
 森の中を散策する都合上、知らずマルルゥは高度を落として飛んでいた。果実を探す為に周囲をきょろきょろと見回していたマルルゥは、不意に、傍ら湧いた殺気に気付くことが出来なかった。  足首に何かが巻き付く。そうと解った時には、マルルゥの身体は地に引き落とされていた。


「――っ痛……っ」
 マルルゥは全身を襲う衝撃に息を詰まらせた。細い躯は地面に叩き付けられ、縫いとめられたまま身動きが取れない。左足の付け根が酷く痛んだ。どうやら左の足首に分銅の付いた縄を巻き付けられ、地に落とされたらしい。
 驚くマルルゥの視界に、二人の男が目に入った。紫のラインの入った軍服――帝国軍だ。
「っへへ、敵軍に妖精がいるってのは、どうやら本当だったらしいな」
「ほぉ〜、これが妖精ねぇ……案外でかいな」
 半笑いで降って来る声に、マルルゥは不安は抱いていたものの、何処か危機感は薄かった。以前にも幾度も相見えたことのある帝国軍の中には、彼女の信頼する先生さんのお知り合いもいるのだから、そう酷いことにはならないだろう。そう何処か高を括っていた所もある。
「何するですか、こういうことしちゃいけないんですよ〜!」
「……あぁ? 何だこいつ、妖精の癖に何だこの口調」
「妖精の癖にって……お前妖精に何の期待抱いてたんだよ」
 げたげたと下卑た笑いに、マルルゥは顔をしかめる。粗暴な人間は苦手だった。殊に、それが男であれば尚更だ。
 やめてください、もう一度言いかけた時だった。
「やめ……っむぐぅっ!?」
「だってよ、妖精っつったらもっと幻想的な生き物だろ? 何だこのふわふわした喋り方、舐めてんのか?」
 マルルゥに繋がれたロープを持った男が、ぐいと縄を引っ張りマルルゥの身体を持ち上げる。自らで飛ぶことも出来ず宙吊りにされたマルルゥの口に、男の指が突っ込まれた。
「お前もう、喋るなよ」
「っむ、ぐぅ……いひゃ……っひぎゃあぁ!?」
 男の人差し指と中指、親指を挿れられただけでマルルゥの口は簡単に塞がれてしまう。武骨な指が舌を摘み出し、無遠慮に引っ張るものだから、激しい吐き気にマルルゥは咽せた。付け根が引き千切れそうに痛む。自然目には涙が浮かび、ダラダラと口の端から涎が垂れた。
「うっわ、ひっでぇ……笑える」
「いいか、二度と喋るなよ。勝手に話したら舌引き抜くからな」
 男の顔面が間近に迫る。吊り上がった目に狂気の色を感じ、マルルゥはこくこくと無言で頷いた。今更ながら、背筋を冷たい予感が走る。生命の危機、他人の悪意というものに疎い彼女が、初めて経験する出来事だった。
(っやだ……っ助けてください、シマシマさん、先生さんっ!)
 小さく震えながらマルルゥは心の中で叫ぶ。これまで幾度も他者と戦ったことはあった。しかしその際に感じていた闘志や安心感は、彼らあってのことだったと改めて感じる。最早全てが手遅れだということは、舌に裂傷が走り口の中に血の味が染み出してくる度に、知覚せざるを得なかった。

「あ〜ぁ、かわいそー。泣いちゃってんじゃん」
「っるせーな、こいつがぎゃーぎゃー煩いのが悪いんだろ」
「そんな小っけぇんだから、あんまイジメると簡単に壊れちまうだろ。勿体ないと思わねぇ?」
 にやにやと笑いながらもう一人の男が横から手を出して来る。髪の毛を鶏冠に立て人相は悪いが、軽薄な口調から少なくとも酷いことにはならないだろう。そう考えたマルルゥが甘かった。
「そんなヒデェことしないでもなあ……別に幾らでも動き封じる方法なんてあんだろ」
 顔を顰めるもう一人の帝国兵を気にすることもなく、男はへらへらと笑いマルルゥの足に絡んだロープを外す。助かるかも知れない。そんな淡い期待にマルルゥの顔を希望が過ぎる。そんな貌色を呼んだのか、男は更に酷薄に笑うと、マルルゥの胴体を掴みと恐ろしい力で右腕を引っ張った。
「ッ……ひ、イっぎゃぁぁぁあぁ!!?」
 壮絶な痛みにマルルゥは口腔の指と大量の涎を吐き出し、絶叫する。肩の関節が外れたのだ。痙攣する脚の間から液体が垂れる。しかし自分が失禁したことも解らず、マルルゥは叫び続けた。
「っおい、喋るなっつったろ、頭の悪い奴だな」
「ッッギャ、ひゅぅう……!?」
「おいおい、短気な奴だな。舌潰すなよ、折角の鳴き声が聞こえないだろ?」
「ッウ、ひぅ……ぁ、は……かはっ……」
 仏頂面の男の手によってマルルゥの舌が捻られる。千切れはしなかったものの、付け根が激しく痛み唾液に鉄錆の味が混じる。まともな言葉を発することが出来ず、マルルゥは激しく呼吸を繰り返した。全身の何処が痛いのかも分からず、只々脳が訴える危険信号に全身が震えていた。
「悪趣味なことだ」
「何だよ、お前だって妖精に興味あったんだろ?」
「言ってるような興味じゃねぇよ……もういい、後は好きにしろ」
「っくく、言われんでも、好きにするさ」
 マルルゥの口から手を離した男は、血と涎でべとべとになった指を気味悪そうに裾で拭い、興味を失ったかに距離を置いた。だからといって、マルルゥには喜べる訳もない。寧ろもう一人、マルルゥの腰を掴み、玩具のように関節の外れた腕をぷらぷらと動かしている男の方が、何処か狂気を漂わせていたからだ。
「さぁて、お楽しみの時間だよ〜、っと。妖精さんの体は何処まで人間と一緒なのかねぇ?」
 腕の痛みに気が遠くなりかけたマルルゥは、しかし胸の辺りに回って来た掌が、無遠慮に服の襟元を剥がし始めたので意識を戻さない訳にはいかなかった。
「……っひ、や、ッヤです……やめて、くらさ……ぃ」
「うん? また泣いちゃった? かーわいーねぇ。……ま、止めてあげないけど」
 植物の葉を利用して作ったマルルゥの服は、いとも簡単に剥がされる。びりびりと容赦なく胸元から破かれ、白い肌が顕わになる。あってないかの如きマルルゥの胸だが、作りは人のそれと同じだ。相応に小さな乳首がついている。ピンク色のそれは急に外気に触れ、意識せずとも硬くしこっていた。
 生命の危機と貞操の危機。一体どちらが優先なのか、朦朧とした頭では判断がつかない。マルルゥに出来るのは涙声で懇願することだけだった。
「おね、が……やぁ……っれす……!」
「やだやだ言うってことは、何されるか分かってるんだろ? 純情そうな顔して中々じゃん」
 容赦なく腰回りを覆う蕾状のスカートを剥ぎ取りにやにや笑って言う男だが、全ての服を脱がすつもりはないらしい。器用に胸から太股にかけて、斜めのラインだけを破いた服は他の部分はそのままに、またニーハイブーツも脱がすつもりはないらしかった。
「言ったろ? そいつ妖精の分際で可愛さが足りねぇんだよ」
「だから、分際の意味がわかんねーっつーの! 混ざる気ねぇなら見てろって。なあ、お前もそう思うだろ?」
 退屈そうに見ていた帝国軍人が茶々を入れるも、拘りなのか服の破れからちら見えする胸の位置を直す男は、一層のこと楽しげに彼女の躯を玩ぶばかりだ。
「こんなちっこくても、ちゃんと乳房も乳首もあるんだからなあ……神秘だよ全く」
「ッブフ……っい、かっは……」
 マルルゥの細い腰は男の左手にすっぽりと収まってしまう。握り潰されんばかりに腰を拘束され、唯でさえ息苦しい所を胸部を右の人差し指が胸部を圧迫する。咳き込むマルルゥの小さな胸を潰す人差し指は、そのまま肉体の構造を確認するように、肺の上を押し鳩尾をねぶり、そして雌として最も大事な器官を上から二本の指で強打した。
「――ッッぐ、ギあァアアぁアァッ!!??」
 外部からとは言え子宮を強制的に圧迫され、押し出されるような悲鳴が口から漏れる。痛い、いたい、イタイ。それしか考えられない。
「はぁん、やっぱちゃんと子宮もあるんだなぁ……妖精の子作りって気にならね?」
 なるかよ、と遠くで相槌を打つ声が聞こえた気もしたが、最早マルルゥの視界には何も映らない。凶悪な暴力の前に無力にも脱力するしかなかった。
「さあて、こっちはどうなってるのかな?」
「……っく、あぁ……ッヤ、あ……」
 くつくつと笑う男の手が下半身に伸ばされる。抵抗する余地などなかった。強引に脚を割り開かれ、息を詰めたマルルゥの緊張した胎内に、指が突き立てられる。ヒュッ、と引き攣れた呼吸が唇から押し出された。太股の間に刺された指は二本、それだけでマルルゥの膣は一杯になってしまう。雌としての部分を使用したことは、マルルゥにはない。行き成りそんな部位に挿入された所で、感じるのは苦痛ばのみだ。
「っはは、一人前に濡れてやがるぜ……あー、何か興奮して来たわ」
「……っひぅう、ッア、やっァ、うごかしゃないれ……ッイっひゃあぁぁ!? い、いりぐちっ、いりぐちあたって……っ」
「あ? 何だ、行き成りポルチオで感じてやがるのかよ、淫乱妖精め!」
「っちが、ひがうでふ……いひゅぅう……んッ、かき回しちゃらめれすぅ……っぐ、ぎゅうゥウッ、ひいぃ……ンッ!!」
 爪も切っていない男の武骨な指先が、マルルゥの子宮口を、膣壁を、無情にも掻いていく。苦痛は当然の如く、しかし自己防衛なのか知れないが、濡れ始めた内部が仄かな快楽を萌し始めているのに、戸惑ったマルルゥは血涎と嗚咽を吐き出すばかりだ。
「狭ぇしきついし……これは一回使ったら終わりだな」
「っげ……お前ここでおっぱじめる気かよ……気持ち悪い、向こう行けって」
「嫌なら見んなよ、人のお楽しみの邪魔すんなって」
「ッギャッ……ぐひゅゥっ……こわれ、こわれひゃうっ!」
 今やマルルゥは男の指二本だけで全身を支えられていた。腰を支えていた筈の左手は、男自身の下半身に向かっている。かちゃかちゃと音を立てて男がズボンのチャックを下すも、マルルゥの目には入らない。だから、その下から引き出されたどす黒く勃ち上がった剛直を見ないで済むのは、ある意味幸運だったのかも知れなかった。
「大丈夫だって、壊れやしねぇよ……ま、これから壊すんだがな」
「っい……ふぇ、ぁ……も、だめ……死んじゃ、ぅ……」
 ずるりとマルルゥの中から指が引き抜かれ、力をなくした躯が地に落ちかけた所を、胸部を握られ繋ぎ止められる。最早成すがままのマルルゥが、滂沱の涙に滲んだ瞳を向けた先、強引に掻き回され体液を垂れ流す股の間に赤黒く膨らんだ男の先端が押し当てられた。
「……ぁ、あ……そんな、そんなの……こわれ……っマルルゥの大事なトコ、こわれちゃいます……ッ!!」
「何生意気言ってんだ、壊れてなんぼだろ? 女なんてよ」
「……お前がいかにモテないかが良く分かる発言だな」
「るっせ……ほんじゃ、イキますか……っ!」
「――――ッぎぁ、ヒぃいいィァァアっっ……!!??」
 狭い陰唇を押し開き、亀頭が胎内に侵入する。阻もうとする太股の動きなど赤子の足掻きにも等しかった。
「っはがっ、あひッ、つぶれ……りゅぅうっ、おひゅぅううウッ!!!」
「っおー……すっげ、やべぇぞこの締まり!?」
「おいおい、お前のデカマラ突っ込んだら腹が破けちまうだろうが」
「それが全っ然、丁度ちんぽの形に広がるし、その割に吸いついて来るし……まさにオナホだな」
 圧迫感に吐き気を催したマルルゥは、仰け反り胃液の混じった唾液を吐き出す。下半身には完全に根元まで人間の雄が埋め込まれていた。
 男の怒張はマルルゥの身体には大き過ぎる。それを無理に押し込めたものだから、腹がぼっこりと膨らみまるで妊婦のようだった。いっそのこともう壊れてしまえば良い、何処か絶望的に思うのに、出産に耐え得る膣は当然のように柔軟に男の一物を咥え込んでいた。
(あっひぃぃ……っ、マルルゥの、マルルゥの中、知らない男の人に犯されて……まだ好きなひととも、したことないのに……っ)
 脳裏にその人の顔が浮かぶ。しかし温かな微笑みは直ぐに下種な笑みに取って代わられた。
――ずちゅ、ぐちゅっ、ぐぷ、ぐぷっ、
 無情にもマルルゥの躯は上下に揺すられ、その度に広げられた内壁から濡れた音が響く。押し縮められた胃袋から逆流した吐瀉物が喉に詰まり、呼吸すら儘ならず白目を剥くマルルゥの、それでも容赦なく揺さぶられる肉体は悲痛なまでに伸び切っている。
 ごぽっ、じゅぽっ、幾度も貫かれ濡れた音が響く毎に腹の皮が突っ張り、膨んではへこんで男に快楽を与えていた。その分マルルゥに与えられるのは、拷問にも似た苦行ばかりだ。
「……っウッぎぅ……っごぶぉっ、ぎゅぅおっ、……げひゅ、ギヒィィッ! ひぬ、しんじゃうぅ……おひゅぃぃイィッぁぁああァァあッッ!!??」
「っふん、こいつもそろそろ限界見たいだし……じゃあ最後は、こっち使わせて貰うかな」
「……俺、もう帰っても良いか?」
 何処か呆れたように遠くで軍人が言うのも気にせず、マルルゥを犯す男はしかし肉棒を胎内から引き抜く。
「あ……ふ、ぁ……ひ、ぅ……」
 苦痛から解放されてもマルルゥの下半身には酷い痺れが残っている。力も入らず、広がった女陰が吐き出す粘液が太股を湿らせ、ぽたぽたと地面を濡らしていた。零れる液体は愛液のみではない。
――じょぼ、じょぼっ、じょぼぼぼっ……
「うっわ、汚ね……こいつしょんべん垂らしやがったぜ。……ま、今更か」
 全身汚濁に塗れたマルルゥを罵りながらも、男はマルルゥを使うのを止める気はないらしい。口から胃液を吐瀉し、下半身から尿と膣液を撒き散らした彼女には、妖精としての尊厳など皆無に等しかった。唯の男を悦ばせる為だけの肉塊と成り果てたマルルゥを、けれど更に男は容赦なく凌辱するつもりのようだった。
「……っは、ぁ……はぁ、……ッひ、ぅえ……!? そ、そこはちがうですっ!?」
「今更だろ? いいから、全部の穴使われて死んじまえよ」
「っっい、いっひぃぃ!? いひゃ、いたいイタイィぎゅヒィィぁああッ!! あ、っお、おっふぉおぉぉ……ひりょがって……マルルゥのおしりひろがっ……ぁぎゅうぅぅっ、ぜんぶ、れんぶおかしゃれ……ッ」
 両の親指拡げられた肛門に、硬化しきったペニスが捻じ込まれる。排出の為の器官はその大きさに耐え切れず端から血を流して鋭痛を訴えていた。マルルゥの直腸は当然人のそれと同じようにうねって胃袋へと通じている。それが強引に引き伸ばされ上下運動をさせられている。
 既にマルルゥの肉体は修復が不可能なくらいに破壊し尽くされていた。
「っあー、ケツの締りもやべぇ……使い切りっつーのは惜しいが、ま、精々楽しむしかねーよな……っし、そろそろ出すか」
「やれやれ、漸くか……さっさとその汚ないオナホ捨てろよ、任務に戻るぞ」
「へいへい……っふ、いいか、イクぞ!」
「――ッッ!!?? いっ……ひゃぁァっうぐぅ、っかっは、ッグゥ……ごふぁっぎゃヒュッ……」
 男が息を詰めると共に、膨れ上がった肉棒から勢い良く精が吐き出された。余程興奮が高まっていたのか収まらない射精に、男は腰を止めることはない。奥の奥まで、突っ込まれながらも出され続ける液体は、マルルゥの細い躯を簡単に貫通し、咳き込むと同時に口から噴き出されていた。
 大量の精液を口の端から垂らすマルルゥはもう声すら出せず、ひゅーひゅーと掠れた呼吸で饐えた臭いの液体を吐瀉するばかりだ。
「……ふう。あーあ、こいつも壊れちまったか。しゃーねぇなあ」
「ハァ、やっと終わったか。さっさとその汚いモノ仕舞って行くぞ」
「っはは……汚ねぇのは俺じゃねーぜ……あーぁ、ぐっちゃぐちゃ、かわいそうに」
 胎内から男の一物が引き抜かれたことも分からず、マルルゥは空虚な瞳を宙に泳がせていた。その視界に遠く色鮮やかな果実が目に入る。
(ああ……こんな所にあったですか。これでシマシマさんも……先生さんも、よろこんでくれるです……ね)
 切れ切れに心に歓喜を湧きあがせるマルルゥの、しかし裏腹にその表情は力を失くしていく。土気色になりつつある相貌は、白濁と汚濁に塗れ次第に呼吸すらか細くなって来る。下半身を整える男は疾うにマルルゥから興味を失ったらしく、最後に皮肉めいた嘲笑を向けると、力の入らない彼女の肉体を放り投げた。
 打ち捨てられたマルルゥの耳には、去り行く帝国兵の足音さえ聞こえない。絶望の淵にありながらも、彼女は微笑んでいる。光を失う瞳の裏には、確かに探していた果実が映っていた。

 壊れた笑みを浮かべるマルルゥの躯は、飛ぶことも出来ず地に落ちる。
 地面に叩きつけられる瞬間、幻の果物と共に彼女の意識も砕け散った。


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